東京地方裁判所 昭和46年(特わ)172号 判決
本店所在地
東京都中央区銀座八丁目九番一七号
株式会社 カワムラ
右代表者代表取締役
川村貞敏
本籍
東京都渋谷区松濤町一丁目一八番地
住所
同都同区松濤一丁目七番二七号
会社役員
川村貞敏
明治四四年五月一日生
右の者らに対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官宮本喜光出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告会社を罰金一、五〇〇万円に、
被告人川村貞敏を懲役六月に、
それぞれ処する。
ただし、被告人川村貞敏に対し、本裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、東京都中央区銀座八丁目九番一七号に本店を置き、各種繊維衣料品の卸販売等を目的とする資本金 三、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人川村貞敏は同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人川村貞敏は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一、 昭和四二年二月一日から昭和四三年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は別紙一修正損益計算書記載のとおり八五、七四四、三一五円であつて、これに対する法人税額は二八、八一三、八〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四三年三月二七日東京都中央区新富町三丁目三番地所在所轄京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三六、四四八、六四六円でこれに対する法人税額が一一、五七二、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、正規の法人税額と右申告税額との差額一七、二四一、一〇〇円については法定の納期限までにこれを納入せず、もつて同額の法人税を免れ、
第二、 昭和四三年二月一日から昭和四四年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は別紙二修正損益計算書記載のとおり八六、〇七一、四一六円であつて、これに対する法人税額は二八、四五四、〇〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四四年三月三一日前記所轄税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三一、九二〇、五八二円でこれに対する法人税額が九、五一六、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、正規の法人税額と右申告税額との差額一八、九三七、四〇〇円については法定の納期限までにこれを納入せず、もつて同額の法人税を免れ、
第三、昭和四四年二月一日から昭和四五年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は別紙三修正損益計算書記載のとおり一〇〇、六〇六、六六四円であつて、これに対する法人税額は三二、八〇〇、八〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四五年三月三一日前記所轄税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四一、七九六、〇四二円でこれに対する法人税額が一二、二三二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、正規の法人税額と右申告税額との差額二〇、五六八、八〇〇円については法定の納期限までにこれを納入せず、もつて同額の法人税を免れ
たものである。
(なお、税額の計算は別紙四の税額計算書のとおりである。)
(証拠の標目)
一、 被告人川村貞敏の当公判廷における供述ならびに検察官に対する供述調書
一、 登記官作成の登記簿謄本
一、 大蔵事務官小林昭作成の簿外たな卸高調査書二通
一、 大蔵事務官小森栄作成のたな卸金額調査書、売上脱漏金額等調査書および銀行預金残高等調査書
一、 大蔵事務官福地健之介作成の証明書
一、 押収してある法人税確定申告書三綴(昭和四六年押第七一〇号の7、9および10)
(法令の適用)
被告会社の判示各所為はいずれも法人税法一五九条、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一、五〇〇万円に処する。
被告人川村貞敏の判示各所為はいずれも法人税法一五九条に該当するが、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予する。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 小田部米彦)
別紙一 修正損益計算書
(株)カワムラ
自 昭和42年2月1日
至 昭和43年1月31日
〈省略〉
〈省略〉
別紙二 修正損益計算書
(株)カワムラ
自 昭和43年2月1日
至 昭和44年1月31日
〈省略〉
〈省略〉
別紙三 修正損益計算書
(株)カワムラ
自 昭和44年2月1日
至 昭和45年1月31日
〈省略〉
〈省略〉
別紙第四 税額計算書
〈省略〉